2019年11月09日

メイキングを観るのが好きです。J 『ターミネーター』(1984年)の舞台裏



今日は2019年11月9日です。

昨日から『ターミネーター』の新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』が公開されているのですが、まだ観に行けてません。

来週くらいには『IT』後編と合わせて観に行きたいな〜、と思ってるのですが、今日はこの作品の原点『ターミネーター』1作目のDVD特典にあったメイキングの中で、ちょいと気になった重箱の隅的なことをピックアップして書いていきたいと思います。

過去記事の中で似たようなことを書いてるのもあるのですが、まとめ的な感じで読んでいただければ・・と思います。





@:配役変更は大成功

ご存知の方も多いと思うのですが、元々この作品はターミネーターランス・ヘンリクセンが演じ、シュワちゃんは主人公のカイル・リース役で企画されてました。

当初の構想としては、ターミネーターは目立たずいつの間にかターゲットに忍び寄り、殺した後は人ごみに紛れ消えていく。

そんな個性のないマシーンとしての設定でした。

T1-6.jpgT1-7.jpg







ところが、脚本を読んだシュワちゃんが「これって悪役は絶対俺やん!」とジェームズ・キャメロン監督に直訴。
 
キャメロン監督は断るつもりでシュワちゃんと話し合いに臨むんだけど、話を聞くうちに「それってありだよな。」と方針変更。

未来からやってくるターミネーターは、姿なき暗殺者からブルドーザーや機関車のように誰も止めることのできない殺戮者に変貌したんです。

おかげで新たに主人公役を選ばないといけなくなったわけですが、オーディションの結果カイル役マイケル・ビーンに決定。


この配役変更について、プロデューサーでありキャメロン監督の良き理解者であるゲイル・アン・ハード氏は非常に面白いことを言ってます。

「ターミネーターが彼になったことによって、わざわざ機械であることを強調する必要がなくなったんです。彼の体そのものが兇器なんです。」

また、主人公役のマイケル・ビーンについては「どこかもろさがあるところがいい。」「カイル役にはアクションができることももろさも必要なんだけど、彼にはその両方がある。」

非常に的確な表現だと思います。 


一方、マイケル・ビーン本人は・・。

「この映画の後アーノルドとのことをしょっちゅう聞かれるんだけど、彼と一緒なのはクラブの銃撃戦シーン一か所だけなんだ。」
「あとはそれぞれ別に撮影している。 僕は彼から逃げる役で捕まったらこの映画は終わりだ。」
「最後の工場のシーンはもうアーノルドじゃない。スタン・ウィンストンが作ったターミネーターさ。」

T1-6.jpgT1-5.jpg








言われて納得・・・そりゃそうだな。






A:特撮時のシュワちゃんの苦労

ナイトクラブでの銃撃戦の後、サラを車に押し込み逃げるカイル。

その車に飛び移り、フロントガラスを殴ってぶち破るターミネーター。

T-1-3.jpgT-1-2.jpg







このシーン(画像2枚目)は、さすがにシュワちゃんでも素手でフロントガラスを突き破るのは無理なので、突き破る瞬間では右手は金属の棒になってます。

また、動いてる車の上ではどうしてもバランスがとりずらい、とのことで車は動かさず、ダミーの壁の方を動かし、走ってる風に見せて撮ってるそうですよ。

T1-5.jpgT1-4.jpg









その後、車から振り落とされたターミネーターが起き上がるシーンでは、服がまだくすぶっているように見せるために煙を出さないといけないので、弱い酸をかけられたそうです。

シュワちゃんいわく「スモークとか他に方法はないのか?」・・と。

まあまあ目に染みたそうですね。







B:スタン・ウィンストンのアイデア

当初は特殊メイクをメイク界の神様ディック・スミス氏にお願いする予定だったのですが、脚本を読んだディック・スミス氏は「この作品に必要なのはスタン・ウィンストンだ。」と彼を推薦したそうです。


元々低予算の映画というのは分かっていたし、さらにシュワちゃん『コナン』の続編に長いこと拘束されていたおかげで撮影開始が遅れ、時間もあまりない。

そんな中でジェームズ・キャメロン監督の要求を満たすためにスタン・ウィンストン氏は様々なアイデアを提案していきます。


●エンドスケルトンは上半身と下半身に分ける。

元々キャメロン監督はターミネーターが炎から出てくるシーンにも使われている、ストップモーションを大々的に使いたかったようですが、これだと全身は映せるけどとにかく時間がかかる。

T1-1.jpg









そこで、スケルトンを上半身と下半身に分けて人が動かすことを提案。

T1-4.jpgT1-2.jpg










舞台裏の写真を見るとやや滑稽ですけど、これがフィルムになると、まるで本当にターミネーターが動いてるように見えますね。



このシーンの動画では全身のスケルトン ⇒ストップモーション ⇒上半身のスケルトン ⇒階段を歩くのは下半身のスケルトン・・と言う風に上手に使い分けをしているのが分かると思います。




●爆破用はウレタンスケルトン、プレス機用はアルミ箔スケルトン。

動画の後半で爆破されるターミネーターウレタンクロムメッキを施したものだそうです。

金属片が飛ぶなんて危なくてしょうがないですからね。

さらには最後にプレス機でつぶされるシーンのUP。

UPシーンの特殊効果は現場でキャメロン監督の指示を受けながら対応したものだそうです。

アルミ箔で頭の形を作り、これまた作り物のプレス機で潰すと目の周りがポロッと落ちる。

そして電球の光を弱くしていき、ターミネーターの最期を表現。

T1-9.jpgT1-8.jpg










ビックリしたのは、最後に漂う煙はたばこの煙だそうですよ。・・アイデアですね。






●小さなものを大きく作る、という特撮もある。

ターミネーターが鏡を見ながら自分で目にナイフを入れるシーンがありますよね。

T1-3.jpgT1-2.jpg






この二つの画像の右と左では違うダミーヘッドを使っています。

右側では虹彩を絞る動きを見せるために大きな目の部分を別に作ってるんですね。

T1-5.jpgT1-4.jpg









小さなものをクローズアップ用に大きく作る特撮は、CGがない頃には良く使われており、代表的なものだと『グレムリン』の顔のUPの表情などがありますね。

ミニチュア特撮は、大きなものを小さく作るという、特撮の代名詞みたいなものですが、小さなものを大きく作る特撮もある・・ということですね。






C:追加撮影にもお金は掛けません。

ぬけのない脚本を書き、完璧に撮り切ったつもりでも、いざ編集してみると「このシーンとこのシーンのつながりいるよね。」って感じで追加撮影が必要になってきます。

ギリギリでやってきたこの作品はそんなところでもお金をかけないで勝負。


●サラの家の外にいるターミネーターの足元。

サラの家に忍び込む直前のカットが必要になったので、ゲイル・アン・ハード氏の自宅で撮ることに。

T1-3.jpgT1-2.jpg







黒いブーツもなかったので黒いスプレーで塗ったそうですよ。




●遺体袋はスーツバッグ

カイルが遺体袋に入れられるUPのカットも必要だったので、マイケル・ビーンを呼んで追加撮影したそうですが、袋はキャメロン監督の車にあったスーツバッグだそうです。

T1-3.jpgT1-2.jpg












以上、今回は『ターミネーター』制作時のちょっと重箱の隅的なことを記事にしてみました。


その他にも未来を描いた際の特撮に使われたリアプロジェクション強制遠近法などの話もしたいのですが、長くなるのでその辺は改めて書こうと思います。・・・いつか多分。




今や30年以上も続く大ヒットシリーズになった、この『ターミネーター』シリーズですが、前回の『ジェネシス』がコケた途端になかったこととされ、今回の『ニュー・フェイト』

『ジェネシス』が結構好きだったわたしとしては、この切り替えの早さは遺産の食いつぶしの連鎖になるような気がして個人的に少し不安です。

・・『ジェネシス』続編で巻き返しもありかな、と思ったんですけどね。



『ターミネーター:ニュー・フェイト』については、観てきて楽しかったら記事にする・・・かもしれません。


ジェームズ・キャメロン監督本人については以前本を読んだ時に記事にしてますので、よろしかったらそちらも覗いてみてください。

※参考:http://meshifuroneru.seesaa.net/article/451836987.html



・・・・・それでは、今日はこの辺で失礼します。




posted by タバスコ at 20:20| Comment(0) | 映画のメイキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: